(2013年筆)
超古代史がブームのようです。書籍は言うに及ばず、ネットなどで検索すると出るわ出るわ、あとから後からこれでもかといわんばかりの盛況であり、つい最近、自分の知り合いまでもがこの手の本を出版したのだから驚いてしまいます。
松岡正剛にいわせると、
これらは「超古代史もの、UFOもの、偽史伝もの、予言ものなどをいう。巷間ではしばしば『カルト本』などともいわれる」分野で、そう書けばおおよその見当は付くかと思われます。そして、「このような本を-(中略)-これまでまったく読んだことも覗いたこともない読書人やメディア関係者というのは、まずいない」「それにもかかわらず、このような本が一般的なメディアで書評の対象になるということは、ほとんどない」「理由はただひとつ、『いかがわしい』からである」
とされるのです。
何せ検証不可能な世界を取り扱う分野ですので、言論の自由というのとはちょっと違うかもしれませんが、床屋談義・居酒屋談義としては結構面白い分野なのでしょう。そして、内容はともかく売ってなんぼの考えからすれば、こうした本がドンドン売れれば少なくとも内需拡大にはつながるわけです。
そこで、典型的な例(キャッチコピーのみ)を拾ってみますと、
■4大文明は嘘!超古代文明は実在?世界中で発見されるオーパーツの正体とは!隠された人類
の歴史
■エジプトのピラミッドは核融合発電施設だった!?
■南極でピラミッド発見 超古代文明か?
■人類の文明は核兵器により1回滅んでいる
etc. etc.となります。Wikipediaによるとこうした説を「古代宇宙飛行士説」というのだそうで、
「人類史上の古代または超古代に宇宙人が地球に飛来し、人間を創造し、超古代文明を授けたという疑似科学」だとされます。また、「人類学的、文化的解釈も考慮しないまま宇宙人飛来の証拠であるとするなど、他分野の知見の無視、学問では当然経るべき史料批判という手順を踏まないなど、論考過程のずさん」さがあるほか、「オーパーツと関連づけられることが多いのも特徴」ということです。
さらに、日本との関連で注目してみると、
■超古代史ミステリー 日本とユダヤ不思議発見
■イスラエル12部族と共に契約の櫃アークは日本へとやって来たのか!?
■日本は世界の賢者が訪れた聖地だった
■日本古代遺跡のネットワークが語る壮大な「地球幾何学」の驚異
■超古代史日本の神 ながら正統史
など、よく見かける類いのコピーといえます。
先の松岡に言わせれば、
「明治以降に西洋思想が流れこんだとき、この内容をうけて日本の原始古代史にあてはめた一連の比較文化研究」があり、例えば「木村鷹太郎が日本神話とギリシア神話の類似に着目して書いた荒唐無稽きわまりない『世界的研究における日本太古史』(明治45年)、石川三四郎が記紀神話のルーツをヒッタイト神話やユダヤ神話に求めた『古事記神話の新研究』(大正10年)、あるいは小谷部全一郎がジンギスカン=義経説につづいて打ち鳴らした『日本及日本国民之起源』(昭和4年)など」があったといわれます。そして、「この手の話は荒唐無稽でも、痛快なところもあった。ところがここに決定的な"事件"」-竹内巨麿が不敬罪で起訴された-が起こり、安易に日本の超古代に関わることはできなくなってしまったわけです。その残り火が戦後、邪馬台国ブームをきっかけに燃え広がった
というのです。
これらの背景には日本のナショナリズムが感じられますが、まさに60年安保・70年安保でも昇華されなかった情念が超古代史という分野めがけて噴出したともいえるのではないでしょうか。ある超古代史本のキャッチコピーが「これが正しい歴史です」などとなっているのもこうした流れをくむものと考えられます。ですから、これらの研究者(?)にほぼ共通するのはイデオロギー絶対史観であり、考古学的整合性や地質学的合理性などはまったく問題にされていないといってもよいのではないかと思います。自分自身「超能力」や「念力・透視・神通力」などを仕事にしながらも、こうした傾向に関しては常々苦々しい思いを抱いて来た私ですが、それは単なる評論家やジャーナリストとは異なり、まさにこうした分野が自己のレゾンデ-トルにつながるからこそ余計気になるのかもしれません。
かといって、私自身が何らかの考古学的手法や地質学・古生物学などの専門知識を持っているわけではなく、多くの方々同様情報源は新聞・TV・雑誌やインターネットというのが実情です。ではそんな私がどうやって情報の真偽を見分けているかというと、これがまた自家撞着になってしまいますが、まさに超能力によってなのです。たちまち「何だ、それではおまえの言うことも他の大勢のいかがわしい研究者と同じではないか」といわれそうですが、ここは一つ私のいうこともお聞きいただきたいのです。
実は、私どもの超能力で可能なことの一つに、時空を超えた認識があります。詳しくは当サイエンスのWebサイトをご覧いただきたいと思いますが、過去・現在・未来のあらゆる事象がその対象になりますので、私は過去の重要な意思決定にあたって度々この力を役立ててまいりました。この手法を私どもは「YES/NO」と呼んでおりますが、巷の宗教者や霊能者等と異なるのは、一定の客観性と再現性があり、すべての事柄で結果が白黒ハッキリ出る点だと考えております。だからこそこの力を株や先物取引に使うこともできますし、未来予測や過去の歴史についても-論理構成が的確であるなら-非常に明快な答えが出てくるのです。
この独自の方法を用いて各種の書籍や情報の信ぴょう性を整理した結果が本稿ですので、検証不可能というご批判は甘んじて受けるつもりでおります。しかし、私どもは決して突飛な空想を面白おかしく編集したとは思っておらず、いずれは本稿に沿った考古学的証拠も出てくるものと考えております。その時こそ本論が裏付けられるといえますが、多くの研究者に提言したいのは、ぜひこの力をこの分野にも応用していただきたいということです。というのも、考古学的アプローチは膨大な時間と手間ヒマがかる分野であり、ごく一部の成功者を除き大半が人生を棒に振るような世界であるからです。トンデモ本が幅を利かしてしまう現在の風潮を嘆く者の一人として、皆様に切に訴えるところです。
【参考書籍】
・Wikipedia
・松岡正剛の千夜千冊
・G.ハンコック「神々の指紋」上下(翔泳社)
・浅川嘉富「謎の先史文明」?人類は恐竜と共存した? 第一回-五回
(東京理科大学同窓会機関紙「理窓」 平成17年1・4・7・10月号、平成18年1・4月号)
・クレモ・トンプソン「人類の隠された起源」(翔泳社)
・本城達也「超常現象の謎解き」
・星野通平「膨らむ地球」(「膨らむ地球」刊行会)
・星野通平教授の研究室
・リレスフォード「遺伝子で探る人類史」(講談社ブルーバックス)
・浅見宗平「ふしぎな記録」〈第3・4巻〉星雲社
・渡辺長義「探求 幻の富士古文献?遙かなる高天原を求めて」今日の話題社
・竹田日恵「『竹内文書』世界史の超革命」徳間書店
・正氣久嗣「正しい霊とよこしまな霊」徳間書店