地球温暖化についての情報は毎日のようにメディアから大量に流されていますが、恐らく国民の多くがこのことに関心を寄せており、視聴率・購読率を上支えする問題であるからだと考えられます。しかしその内容を見ると、「異常気象」も「自然破壊や環境汚染」もすべてが「CO2による温室効果」のもたらす「温暖化」の結果とされており、前の節で述べたような短絡的思考回路しかないように思われます。センセーショナルな現象が温暖化現象と勘違いして報道され、一般国民はそれを信じ込んで混乱が起きていると赤祖父氏は述べています。
TVで良く使われる氷河の末端で大きな氷塊が水しぶきを上げて海面に落ちる映像、これをCO2による温暖化のためとほとんどの国民が受け止めています。しかし氏によれば、
「氷河は文字どおり『氷の河』である。上流で降った雪が10m程積もると次第に氷になり、重力で河口に向かって移動する。したがって、その末端で氷塊が崩れ落ちるのは当然で、これは氷河ができてから日常的に起きていることである。-(中略)-もし、これらの現象が起きなかったとしたら山は年々氷のため高くなっているはずである」
ということになります。また氷河はその集積にしろ移動にしろ100年単位で考えるべきものであり、その期間の気候変動の積算としてとらえなければならない。氷河がある期間後退しているとしてもそれが直接その期間の気候変動を現しているとは言えず、50年前の降雪量が少なかったことの現れかもしれないとも指摘しています。
次に北極海の氷とシロクマの将来もメディアに取り上げられていますが、一般国民は北極海の氷が一枚岩だと思っているかもしれないが、これは1年・2年・多年氷などの氷群からなり海流と風で大きく動くのだそうです。また北極の氷を論じるには海氷面積だけではなくその厚さも重要な要因であり、さらに北大西洋の海水の流入や過去の膨大なデータの照合など、複雑な事実を総合的に検証することが必要であると述べられます。また2040年の夏に氷がなくなるという一方的な情報が流されて野生動物保護団体が大騒ぎした件については、アザラシは海岸付近に生息しシロクマもそれを追うため、
「北極海の真中でぼんやりしているシロクマはいないだろう。-(中略)-温暖化の影響ではないかと報道されても」「彼らは何万年もの気候変動に耐えて生きてきた。一頭の溺死を問題とするのは、一人の溺死事故で人類が滅びるとするのと同じ」
だとコメントされるのです。
さらに永久凍土の問題については、永久凍土を取り除かずに直接建物をその上に立て、その後暖房によって起きた現象であり、道路工事の際にも似たような事例があることが指摘されています。海水面の上昇による南の島々の水没に関しては-IPCCの報告でも同じだが-年1.7mm程度であるので、10年後でも1.7cm、100年で17cmとなり、これは小さな波程度のものなのでニューヨークやロンドンの水没などあり得ないとされています。また、マラリアなど熱帯病の北進が心配されていることについても、パスツール研究所の専門家によって否定されているとされますが、台風などの自然災害による被害については急増していることが認められます。しかし台風の数そのものとそれによる死者数が減少していることから、これは人口増加により従来より災害が起きやすい土地に人々が住むようになったことが原因であり、「異常気象」によるものだが「温室効果」とは関係がないとされています。
このようにみてくると、メディアがその体質として持っている"センセーショナリズム"と学問や文学・評論などとは異なったその時々の"時事的無責任さ"が、事態を混乱させていることがよく分かると思います。さらに「昭和史再考」・「日米関係への視座」で述べた、"軍国主義"下の報道規制・"占領期間"中の検閲や政治・経済との癒着を考える時、わたしたちは独自の手段で真実をさがす必要があることを思い知らされるのです。
参考文献
世界経済のネタ帳
日本生活習慣病予防協会
日本経済新聞2010年10月24日朝刊
ボルマー&ヴァルムート著「健康と食べ物,あっと驚く常識のウソ」(草思社)
田中平三監修「サプリメント・健康食品の『効き目』と『安全性』」(同文書院)
福岡伸一「生物と無生物の間」(講談社現代新書)
赤祖父俊一「正しく知る地球温暖化」(誠文堂新光社)
オープンコンテントの百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
日経電子版2009年11月26日
産経新聞2003年6月22日
【2010年ビルダーバーグ会議・緊急報告】”主役”不在の今年のビルダーバーグ会議。崩壊しつつある”グローバル・ガバナンス”の行方 (1) 2010年6月10日
農林水産省HP
ビジネスのための雑学知ったかぶり「日本の食料自給率は40%」
財団法人エネルギー総合高額研究所HP
シフトムHP
近藤邦明「環境問題を考える」
永濱・鈴木編「[図解]資源の世界地図」(青春出版社)
武田邦彦「温暖化謀略論」(ビジネス社)