皆さんお元気ですか、朝比奈です。
報道によると、「ほとんどの抗生物質が効かない新型の細菌に感染した患者が欧州などで増えており」、WHOは「世界的な医療問題になる」として、加盟各国に実態調査と予防策の実行を要請したとのことです。
また、「新型細菌は、インド・パキスタンが発生源とみられ、ベルギーでは死者も発生した」ということです。
さらにWHOは、「感染予防のため、積極的に手洗いするよう奨励した」とのことでした。(日経8月21日朝刊)さらに、24日の朝日新聞朝刊によると、欧州では美容外科手術を受ける時、医療費の安いインド・パキスタンに行く人が多く、その際に感染したのだということです。まぁ、インフルエンザの時もそうでしたが、《手洗い》が最終的武器だとは、WHOにもあきれますね。
耐性菌の発生に関しては、過去何回も私どもは警告しており、今回のような事態も十分起こりうることが予想されていました。実際、最初の抗生物質であるペニシリンが使われ始めたのが1940年代、けれども我が国でO157が発生するのが1980年代、その頃既にMRSIやVREによる院内感染も進んでいたのでした。ペニシリンが登場した時、人類は感染症から解放されるともっぱら喧伝されたのですが、僅か40年ほどでそれは全くの幻想であったことを私たちは思い知らされたのです。つまり、同じ細菌がいても、発症する人もあれば発症しない人もいるのは、《個体の免疫力の差》によるのであり、抗生物質で一律に抑え込もうとしても駄目なのだということです。
同様なことは多数あり、例えば消化不良に消化剤を飲んでいるとカラダ本来の消化液の分泌は抑制されますし、婦人科系の疾患で性ホルモンを投与していると卵巣は委縮していくのです。高血圧を例にとれば、カラダの中枢は何らかの理由で血圧を高く保っているのであり、それは肥満とか動脈硬化による循環不全があるからだと思われます。その根本的な原因を解消しないまま降圧薬を投与したら--カラダはさらに血圧を上げる反応を起こすのではないでしょうか。こう考えると、薬で抑え込むのには限界があることがお分かり頂けると思います。
では、来月またお目にかかりましょう。