皆さんお元気ですか、朝比奈です。
実は6月に、日本古代史に関する非常に信憑性の高い本を見つけました。かねてより「記紀」史学に疑問を抱き、かといって「古史・古伝」研究者の言い分を鵜呑みにするわけにもいかなった私どもとしては、さまざまなこの分野の書籍をYES/NOで視てみたのですが、殆どがNOかベターであきらめかけた頃に一人の在野の歴史学者を見つけたのです。小林惠子(やすこ)氏がその人であり、80年代からの著作は十数点以上、いずれも膨大な参考文献と資料を駆使して日本古代の政治史を探求されております。どちらかといえば否定的な見方が多い氏の説ですが、私どもとしてはようやく古代史の一端にたどり着けたと安堵しております。
要するに7世紀までの「記紀」の記述はそのままでは信憑性に乏しく、諸外国の史書と比較検証していかねばならないというのが氏の主張です。それだけだと一般的研究者と変わらないように見えますが、従来は「記紀」神話は単なる物語として扱われ、あとは考古学的遺物から推測するだけが我が国の学者達のアプローチでした。しかし氏によれば、前4・5世紀からの歴史の一端は中国・朝鮮の史書に明らかであり、「記紀」の神話的記述にはそうした事実が寓意的に語られているというのです。それらの検証により、氏は年単位の細やかな古代史像を浮かびあがらせることに成功したのです。また大陸・半島の歴史が相互に影響しているにもかかわらず、我が列島だけが何か特別な法則で動いているように考えてきたのが日本の古代史家だったのではないでしょうか。一読すれば驚かされますが、読み進めるうちに氏の綿密な考察により、7世紀までの倭国王(天皇)はすべて大陸・半島勢であったこと、日本人は単一民族ではなく他民族国家であったことなど、誰かの言う「美しい国」とはかけ離れた世界でした。
結局ここで明らかになったことは、第一に明治維新以来私たちに刷り込まれた国家観や日本的アイデンティティの再検討をすべきだということです。第二に私達が探求せねばならないのは、超古代のこの国の姿を縄文以前の伝承等から復活させる作業ではないかと思われ、全容が明らかになる日も近いと考えております。なお、小林氏の本を基にした「古代史年表」が出来上がり、ご希望の方々には無料でお分けしておりますので、事務局にお申し込みください。
では、来月またお目にかかりましょう。