皆さんお元気ですか、朝比奈です。
9月は大型の台風12号による紀伊半島を中心とする豪雨や、首都圏までも直撃した15号による交通網の乱れなどが起こり、新聞やTVでは現地の被害や被災者の困難などが大きく報道されました。特にNHKなどが強調していたのが未曽有の降水量であり、その背景には未だ我国だけで信じられている地球温暖化問題があるようです。しかし、良く考えてみると昔と比べて台風の数やその勢力、被害や死者数などはかなり減っているのではないでしょうか。こう申し上げては現地の方々お叱りを受けるかも知れませんが、名古屋については伊勢湾台風(犠牲者5,098人・負傷者38,921人)の時と比べると、被害ははるかに軽微だったと申し上げられます。
以前、南紀白浜から高野山までタクシーで横断した時の経験から言うと、若い杉林のみ目に付き山林の保全がなされていないという印象が強かったのですが、紀伊半島の土石流の原因の過半は山村の人為的な荒廃にあるのではないかと思われます。我国の森林の状態が全国的におかしくなっていることは夙に警告されていたのですが、こうした事態は補助金漬けの農林水産業(それもコメだけが優先されている)の結果ではないでしょうか。一次産業の競争力がないのは、産業としての位置づけを行ってこなかった農林水産省の失政であり、現在の農山漁村には若い後継者はほとんどいなくなってしまったのです。
以上のように見ると、今回の台風被害が果たして天災だったのか人災だったのかは、やや難しい問題となって来ます。同じ視点で福島第一の問題を考えると、非常用電源の不備・初動が遅きに失したことなどは明らかに人災といえるのではないかと思われます。また、もっとマクロな資源・エネルギー的観点で見るなら、原発の比率が高いのは日・独・伊の旧枢軸国と仏であり、これらに共通するのは自前の資源・エネルギー権益を持たない国々だということです。英・米・露・中などの戦勝国はこの点が全く異なっているのであり、我国が打開策を図るとすれば、軍事・外交・資源エネルギー問題がカギとなるのではないでしょうか。
では、来月またお目にかかりましょう。