列島土人が喪ったもの

「吉本隆明の“大衆” 像は超克すべき」

九月の半ば頃富山と福島の老婆の電話相談について書きましたが、
富山に関しては以下のようでした。

昨日富山のさらに田舎の 72歳という老婆の電話相談だったのですが、妹といってもだんだん70になる年寄りが乳がんになってしまったとの事。
医療機関では原因については何も言っておらず、要するにワクチンの有害事象を完全に隠蔽しているわけです。この老婆自体も聞いてみたところ、
当サイエンスのニュースなどは「読んでも難しくってよくわからない」、
ということで新型コロナと遺伝子ワクチンについては、ほとんど把握していないということだったのです。本人はまだ現役のつもりで仕事はしているのですが、それが介護関係で要するに患者の日常生活の手助けみたいなもの。これも一類二類が近々政府は保険適用を除外していくわけで、今年来年で収入の道も断たれるという状況なのですが、そんな事は全く考えておらず本当に気楽な年寄り生活なのでしょう。「もし本気で治すのならレジェンダリー以下のアプローチが必要です」、ということで説明したのですが、「私は妹のがんを治したい一心でお願いしているのに、会長は何でそんな筋違いの話しばかりするのか」という状況。それで「ウクライナを応援している」という話しが出てきたので、「どなたかお知り合いが行っておいでなのですか?」と訊くと、「いやそんな人いないけど、プーチンが憎くてたまらない」との事。こりゃだめだということで終わりということにしたのですが、現在の日本のド田舎の老人の精神状況がよくわかるというものです。

また福島の老婆に関しては以下のような経過。

昨日びんぼさんが建設業の倒産増加について言及し、「建設業はコロナ洗脳が高く」「なにせみんな無知」、と話していましたが私共のお客でも、
福島県の人だったのですが原発の下請け業者をやっている会社の、まだ 60代前半の女性がこうした典型と言えるかもしれません。嫁に行った不妊症の娘にパワーを入れて、かつ 20代のころから続く被爆に注意するように言って、第一子を授かったところから第二子もとの希望だったですが、なんせコロナについては何も知らずワクチンもめちゃくちゃ。「このままでは一家全滅してしまうので、レジェンダリー以下の方策を取って下さい。
ただこれはご本人の意思如何なのでご検討下さい」、と説明したのが先週なのですが果たしてどうなることやら。びんぼさんも今日は「知能弱者の人たちみんなエジキ」と突き放し。

以来ずっとこのことについて考えていたのですが、
今朝散歩していると山並みが次第に秋色に変わりつつあり、
人間の営みをよそに四季がめぐっていることを感じつつ、
ふとカール・ブッセの詩を思い出しました。

山のあなたの空遠く
「幸さいはひ」住むと人のいふ。
噫ああ、われひとゝ尋とめゆきて、
涙さしぐみ、かへりきぬ。
山のあなたになほ遠く
「幸さいはひ」住むと人のいふ。

上田敏の訳詩集『海潮音』に収録されているわけですが、
もう一つ心に残っているのがロバート・ブラウニングのもの。

時は春、
日は朝、
朝は七時、
片岡に露みちて、
揚雲雀なのりいで、(*)
蝸牛枝に這ひ、
神、そらに知ろしめす。
すべて世は事も無し。

私とこの老婆たちとの違いはさして知的なものではなく、
感性的なレベルの話しではないのかと思われたのです。
それはかつて牧伸二のウクレレ漫談が終わってから登場した、
名前は忘れましたが、
「おれが昔○○だった頃☓☓なことがあった・・・。
分ッかるかな~、分ッかんネェだろうな~」、
で終わる漫談師の記憶と重なります。
土人の老婆たちは小金と引き換えに何かを失ってしまったわけでその何かというものを私たちは今回発見した
といえます。
これはもう論理的なレベルの話しではなく、
おそらく美的な感覚的な話しなので選ぶのはその人次第ということです。

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