唾棄すべき風潮
「浮かれていると危ないぞ」
ここのところ毎日毎日、天皇の退位と即位に関する報道、
また、改元に関する記事などが膨大で、
NHKなどは「天皇運命の物語」などという特集番組を、
7時のニュースの直後に延々と放送している。
私などはもともとこんな番組見る気もなくて消していましたが、
番組を見た人によるとかなり重大な内容をはらんでいたとのこと。
これはNHKは論評をせずにそのまま流してしまったようですが、
語ったのは三谷太一郎氏(東大名誉教授・日本政治外交史、写真中・右)。証言したのは、三谷氏が宮内庁参与として他の2人の参与(湯浅利夫元宮内庁長官、栗山尚一元外務省事務次官)とともに出席した2010年7月22日の参与会議のもようです。出席者はほかに明仁天皇、美智子皇后、羽毛田信吾宮内庁長官(当時)、川島裕侍従長(同)の計7人。
参与会議の冒頭、明仁天皇が突然、こう発言しました。
「80歳までは象徴の務めを果たすが、その後は皇太子に譲位したい」
天皇の口から「生前退位(明仁天皇に言わせれば「譲位」)」の意向が初めて口外された瞬間でした。出席者(天皇以外の6人)は仰天し、会議は「凍りついたような雰囲気」になったといいます。
議論の末、三谷氏らは、明仁天皇が天皇の地位にとどまり、「象徴としての務め」を皇太子に任せて、「象徴の地位と象徴の務めを切り離すこと」を提案しました。「地位と任務の分離」論です。天皇以外の6人はこの「分離論」で一致しました。
しかし、明仁天皇は譲らず、「生前退位」の意向を押し切りました。
帰りの車の中で、三谷氏は苦悩の中、こう思ったといいます。
「戦後の日本国憲法が当面した最大の問題だな」
(中略)
三谷氏の苦悩は、明仁天皇の「生前退位」の意向が憲法や皇室典範に反することが明白で、周囲がすべて反対しているにもかかわらず、明仁天皇が断固として譲ろうとしないことにあるのは明らかでしょう。
その後の経過は周知の通りです。明仁天皇の意向通りの「特別立法」が安倍政権によって国会に提案され、日本共産党を含む全会一致で可決・成立し、「生前退位」が現実になりました。
”戦後最大の憲法違反“を明仁天皇が望み、政府がそれに従い、国会が全会一致でそれを容認した。「主権者」である私たちは、この事実を肝に銘じなければなりません。
ということ。
この退位が、1,000兆または2,000兆円にも上るとされる、
主としてアジアを中心に略奪された皇室財産についての相続税をうやむやにする、
非常に不透明な部分についての言及がないことが問題ですが、
一人気を吐くアリの一言 氏の言にほっとする。
あえて言えば、秋篠宮が美智子の腹ではなく、
宝塚女優の子だという点も明らかにしてほしい。
そうこうするうち日曜日の新聞は、共同通信の平成がどんな時代だったかという、
やらせに近い世論調査の結果を報じていてまた憂鬱になりました。
何せ、よい時代だったというのが 73パーセントで、
「経済が停滞し、大災害が相次いだが、戦争のない平和な時代であり、
多くの人が日々の暮らしに一定の充足を感じていたといえそうだ」
などと総括されているのです。
しかし、個人的な年表を見ると、
88年 =昭和63年まではさしたる記述もないのですが、
89年 =平成1年以降となると世界的なあるいは国内的な大事件が連続。
東欧の崩壊・ソ連の崩壊が起き、
これは欧米金融資本による仕掛けだった事が今明らかになっていますが、
その直後から湾岸戦争がおこり、
国内ではアメリカのヘッジファンドによるバブル崩壊に始まり、
円高による製造業の空洞化が進行し経済がめちゃくちゃになったところに、
地下鉄サリン事件と阪神淡路大震災でこの国の先行きに暗雲が垂れ込めてくる。
西側一強となった軍産複合体はその後ペルー人質事件武力解決、
NATOのコソボ軍事介入を経て、
01年の同時多発テロからアフガン軍事侵攻へと強権を発動していく。
その後の歴史は記憶に新しいもので、
新自由主義の申し子小泉・竹中路線がやがて安倍晋三にうけつがれて、
現在のような非常に不安定な状態になっているわけです。
だから、平成とは国家独占資本主義の強引な政治経済のシフトが行われ、
戦後的な一種独特の疑似近代というものは、
3.11の大震災と福島第一の原発事故により完全に過去のものとなった。
年代によって受け止め方も違うのかもしれませんが、
この国はすでに過去完了となったのではないかと私には思われる。
で、面白かったのが、昨日のNHKが流した花見客へのインタビュー。
折からの寒さに震える大人たちは避けて、
小学生ぐらいの女の子に「きれいで心が洗われる」みたいなことを言わせている。
それと、昨日の地方紙の投書欄に載った、
「政治の劣化が止まらない」という記事。
安倍一強の国内政治の批判はともかく、世界認識が笑える。
「世界を見れば民主国家がゆがみ、一方では強権独裁政権が国民を抑え込んでいる。
政治の劣化が止まらず由々しきことだ。
だからこそ日本の政治家に奮起してもらいたい」
というのですが、
民主国家って何か、強権独裁政権とはどこの国かがはっきりしない。
よく言われる言葉に、
政治家は選挙民の鏡であるというのがありますが、
劣化しているのは、あんたを含めたこの国の国民自体
なのではないか。