三種の神器と伊勢神宮

「天皇の田舎芝居」

連日連夜、改元や天皇礼賛奉祝記事だらけでうんざりですが、

天照大神(アマテラスオオミカミ)に退位の報告をするため、伊勢神宮に赴く天皇明仁と皇后美智子を、沿道で出迎える大勢の人々が「日の丸」の小旗をしきりに振って、長い列を成す。山々、野原から樹木草花が自生するように、人々は天皇の赤子に「成って」いる。
米の原産地は中国の長江の上流であることを研究者が突き止めた。伊勢神宮の神官は、この発見を全く無視して、アマテラスオオミカミが日本に米を伝えた、とテレビ・インタビューでのべる(4月19日、BS3「風土記・伊勢」)。神話は科学的知識をせせら笑いする。これが現在の日本に露呈する天皇制の姿である。

という記事を読むと、
失われた30年の間に、
天皇制が人々の心のすみずみまで浸透してきたのだと思わずには居られません。

しかし、この記事を書いた専修大学名誉教授が、
ことの本質をどのくらい理解しているのかというと何とも心もとない。
伊勢神宮については以前にも指摘しましたが、
692年の持統の参拝以来、皇室の参拝はなかったのに、
明治になって、明治天皇 =大室寅之助が南朝系だったために、
暗殺した孝明天皇 ・睦仁親王=北朝系の宇佐神宮への参拝はさすがにできず、
そこで伊勢神宮に切り替えたという極めてご都合主義的な歴史がある。
そして、明治天皇と大正天皇は血筋でつながるが、
大正天皇と昭和天皇は血がつながっていない。
昭和天皇の父とされるのは最後の元老西園寺公望の娘婿、西園寺八郎であり、
そんな関係で八郎が終戦まで昭和天皇を輔弼した。
まぁ、昭和天皇の母は大正天皇の皇后だったわけですが、
この人はさまざまな男たちと関係しており、
まあそんなことはどうでもいいことだけれども、
ネトウヨがいうような世界に冠たる「永い伝統」などというのは、
この150年をとってみても嘘だらけ。

で、三種の神器ですが、
まぁ、しかし明仁天皇も自らの出自が半島であることを知りながらなかなかの役者。
鏡については、
研究者によれば平原遺跡(邪馬台国に関連)の鏡の一つではないか、
とも言われることを以前も指摘しておきましたが、
剣に関しては半島から渡来した天孫族に由来し、
それは元をたどれば、半島の遼寧式銅剣までさかのぼるのかもしれない。
ヤマトタケルは兼川晋氏によれば、景行の太子で、仲哀はヤマトタケルの子、
成務が豊前の天皇に、ヤマトタケルは豊後安岐津の天皇になり、
東国への遠征はナシとされているのですから。
あとは勾玉ですが、
これは恐らく糸魚川のヒスイに関係すると思われるので、
八雲王朝・出雲王朝あたりから取ってきたか、
あるいはまた縄文祭祀にさかのぼるものなのかもしれない。
歴史学は科学なのですがこの国では最早科学などは無用の長物
になってしまっており、
左翼論者も「日本書紀」をベースにした「古史古伝」や、
「日月神事」などというこれも非科学的極まる偽書に振り回されている。
各国では神話学(ミトロジー)を通じて、
民族の起源を科学的に探求しようとしているのに、
この国は天皇の田舎芝居に酔っている有様なので、
当分抜本的再建は無理だと思われます。

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