変異種とは何か(3)
「ゲノム解析って何?」
前回は、
「ゲノム解析などとなってくるとかなり難しく素人には、あるいは医師ですら、
最先端科学のキーワードの羅列に何を言われているのかまるで分からないという形で白旗を挙げざるを得ない」、
ということを述べましたが、
今日はそういうことで DNAやゲノムについておさらいすることにします。
まず DNA とは何かから始めますと以下のようになります。
DNAはヒトの細胞では、核の中の染色体にあり、A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)の4種類の部品でできています。
DNA中ではAとT、GとCが結合していて、その結合の対を塩基対と言います。 DNAは、はしごをひねったような形をしていて、核の中の染色体の中に折りたたまれて入っています。
ゲノムとは、遺伝子(gene)と染色体(chromosome)から合成された言葉で、DNAのすべての遺伝情報のことです。
遺伝とは、たとえば鼻の形が似ている、ある病気にかかりやすいなどの、親の生物学的な特徴が子供に伝わることで、それを伝えるDNAの特定の部分が遺伝子です。
これでようやくゲノム解析が何かということについて、
基礎的な理解が可能になるわけですが、
結局ゲノム解析とは多くの生物の遺伝情報を解明することとなります。
現在、遺伝子情報(DNAの塩基配列)は自動的に解読でき、
コンピュータで解析できるようになったわけですが、
個々の遺伝子の役割や病気との関係の解明はまだこれからの話とのこと。
これらの知識をもとにして昨日のデータを作図した、
慶應医学部の 新型コロナウイルスゲノム解析の説明を読んでみると、
協力医療機関より患者様の検査残余検体及び臨床情報を収集するウイルスゲノムネットワークを構築、さらにウイルス全ゲノム解析プロトコルの最適化を図り、種々の検査残余検体から抽出したウイルスRNAの全ゲノム配列を高精度で解析することに成功しました。解析により得られた新規ゲノム配列情報は、積極的に国際データベースに登録・公開し、全世界の公衆衛生研究発展に寄与します。
解析した新型コロナイルスのゲノム配列情報は感染ルートを正確に把握するための判断の一助となります。感染の伝搬の有無や経路を科学的に決定するシステムを構築・活用することで、本感染症による院内感染の拡大回避・医療体制の早期回復、及び医療従事者の負担の軽減が期待されます。また、ゲノム配列情報から得られたウイルス変異に臨床情報を突合することで、新型コロナウイルスの病原性や感染性などのメカニズムを解明し、本感染症の診断、治療、感染対策への貢献を目指します。
という風に新型コロナの全ゲノムを解明したと言っているのですが、
私たちの去年の流行以来これまで学んできた知識によれば、
どうもこれ違うのではないかというような気がするのです。
なぜなら新型コロナの全体像というものは、
中国当局によって最初に登録されたつぎはぎだらけのデータのみしかなく、
大橋眞教授によればPCRが見ているのは全塩基配列の1/300程度の部分であり、
コロナウイルスのゲノムがいくら少ないと言っても3万塩基対程度はあるので、
100程度の塩基領域だけが対象とされているのではないかと思われる。
私たちは本当の素人なのでいったいどちらが正しいのか、
理論的な部分になってくると曖昧になってしまうのですが、
慶應医学部の記事をよく見ると、
「スパイクタンパクに免疫逃避変異とされるE484Kを有するR.1株」とか、
「スパイクタンパクの484番目の場所(アミノ酸)にEからKに変わる変異があるE484K変異」とか、
要するにウィルス本体ではなく部分的変異に話が限定されている。
また、
「関東地方の13の協力病院でCOVID-19患者198人の検体を対象に全ゲノム配列解析を行ったが、90%以上の株がClade 20Bの2系統(B.1.1.284およびB.1.1.214)のいずれかに属していた。しかし、2020年11月に採取された1株は、米国西部で流行しているClade 20CのB.1.346系統に属していた。」
などというのを見ると、
この変異というのはやはり本体のごく一部の変化を言ってることが分かる。
いずれにしろこれにけりをつけるには、
ゲノム解析というのを詳しくみてみないと
ということになるようです。