エコとは何か(CO地球温暖化論4)

CO地球温暖化情報の発信はニュースや特別番組に限らず、あらゆる番組や記事の底流となっているようです。先日ラジオである若手のタレントがキリマンジャロまで野生動物の観察に行き、生態系がどんどん狭まっていることをCOと結びつけて話しているのを聞いた時などは、思わず「エッ」と思ってしまいました。キリマンジャロの氷河が後退しているのは裾野の乱開発によるとされているのだし、COによる温暖化を本気で心配するなら、そんな遠くまでジェット機で-まさか徒歩ないしヨットで行ったとは思えません-行く方が余程悪いだろうと考えられるからです。このように現在の日本では、”エコ”とか”地球に優しい”あるいは”環境に配慮”といった言葉だけが一人歩きし、意味不明の正義となってしまっているようです。
では「エコロジー」とは一体どんな意味なのでしょうか。その背景には20世紀に入って発達した化学工業の下で生産された、膨大な化学物質による環境破壊や公害の発生があったようです。1962年にレイチェル・カーソンの「沈黙の春」が刊行されるや、DDTをはじめとする農薬や化学肥料の問題が人々の共感を呼び、環境保護運動の輪が世界中に広がっていきました。70年代・80年代にかけてエコロジカルな運動は、反核・反原発や反捕鯨といった緑の政治運動に変貌していくと共に、化学物質(ダイオキシン等)とリサイクルをその対象ととらえた時期でもありました。そして1990年以降これらの問題は、すべてCOによる地球温暖化問題と結び付いていったのです。この時「エコロジー」の持っていた反企業・反政府・反体制といった意味は薄れ、逆に企業や政府が”環境配慮”を自己の商品や政策の売り込みを促進するための積極的手段として採り入れる中で、”エコ”や”地球に優しい”という言葉が生まれてきたようです。”持続可能性”や”リサイクル”もその概念に取り入れながら、現在「エコ」という言葉は”COの排出削減”・”化石燃料や火力発電の抑制”・太陽熱や風力など”自然エネルギー促進”・”水質や環境の浄化”・さらに自然の再生を目ざす”生物多様性”などの概念をも幅広く含む用語になっているようです。
そこで問題となるのが、これらの多様な概念を吟味しようとしたりCO温暖化説に反対したりすると、その個人なり団体はすべての内容に反対しているとみなされ、あらゆる場面でバッシングに会うことです。前にも申し上げましたように、そこでは省エネや代替エネルギーがCOによる温室効果とイコールであり、リサイクルや生物多様性に関する議論が異常気象や環境汚染等に直接結びつけられているのです。また、日本人特有の「節約」や「もったいない」という”道徳観”がそれらの一つと結びつく時、環境問題や地球温暖化は”科学”からはるかに遠いところに行ってしまうようです。
例えば、バイオエタノールは温暖化の切札のようにいわれていますが、車一台のガソリンタンクを満杯にするために必要なトウモロコシの量は、一人の人間が1年間それだけで生きられる量であること、その生産にはエネルギー収支上同量の石油が使われることなどは考慮されていません。同様なことが、太陽電池や風力発電・原子力発電にも言えるわけですが、詳しくは後に譲ることとします。
またオール電化が地球に優しく、電気自動車がエコカーであるなども似たレベルのことです。電力が主として火力発電所で生産される限りそこではCOが出ているわけですし、電気自動車の製造段階で出されるCOが一般の車よりはるかに多いことを考えれば、仮に多少燃費が悪くても今の車を大事に使った方がエコではないでしょうか。また、これらの商品に付加される”エコポイント”は、さらにその先で商品やサービスに変わる-これらもCOを排出する-とすれば、現在の政策は矛盾しているとしかいいようがありません。
レジ袋が石油消費の0.2%にしかあたらないこと、古紙やペットボトルのリサイクルがエコノミー的に行き詰まっていることなどを考えると、果たして”環境”とは何なのかを考えてしまいます。例えばペットボトルのリサイクルには分別回収や製造工程で人件費の他に石油が使われ、キロ当たり600円とされるフレーク(売値は3~30円)に対し、ナフサはキロ当たり15~20円とされているのです。一方排出権取引-これは情報・金融の世界-では巨額マネーが世界を飛び交い、浮利を得ている政治家などもいるようです。
このようにみて来ますと、
「環境団体は、本来の目的である現在目前に起きている汚染、破壊問題に専念すべきである。環境汚染、破壊を炭酸ガスの問題とし混同すると、-(中略)-汚染・環境破壊・乱獲・不法猟などの『犯人』が全体責任の陰に隠れてしまうことになる。洪水の原因の一つは上流における森林破壊である。温暖化のためとする根拠は極めて少ない。魚類の乱獲で漁獲が少なくなると、温暖化で海水温が上昇したためとするのも同じことである。-(中略)-珊瑚の問題も一部は汚染によるのではないか」
という赤祖父氏の言がもっともだと思われるのですがいかがでしょうか。

【参考文献】

世界経済のネタ帳
日本生活習慣病予防協会
日本経済新聞2010年10月24日朝刊
ボルマー&ヴァルムート著「健康と食べ物,あっと驚く常識のウソ」(草思社)
田中平三監修「サプリメント・健康食品の『効き目』と『安全性』」(同文書院)
福岡伸一「生物と無生物の間」(講談社現代新書)
赤祖父俊一「正しく知る地球温暖化」(誠文堂新光社)
オープンコンテントの百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
日経電子版2009年11月26日
産経新聞2003年6月22日
【2010年ビルダーバーグ会議・緊急報告】”主役”不在の今年のビルダーバーグ会議。崩壊しつつある”グローバル・ガバナンス”の行方 (1) 2010年6月10日
農林水産省HP
ビジネスのための雑学知ったかぶり「日本の食料自給率は40%
財団法人エネルギー総合高額研究所HP
シフトムHP
近藤邦明「環境問題を考える
永濱・鈴木編「[図解]資源の世界地図」(青春出版社)
武田邦彦「温暖化謀略論」(ビジネス社)

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